月の土

植物が育つ土にしたい。主に登山・植物の雑記とイラスト

悪夢日記 其の二

【風呂場】

バナナ。真っ白い浴室の床に熟れすぎたバナナが一本転がっている。

真っ黒くなったバナナに近づいてみる。これがバナナでないことにすぐ気付いた。でっかい虫だ。しかもダンゴムシのように丸くて分厚くて脚がたくさん生えている。動いてはいない。変な匂いもしない。死んでいるのか。ただそこにゴロリと横たわっている。流石にこの大きさでは水で流そうにも、排水溝の入り口で詰まってしまう。

 でも不思議と気持ち悪さはなかった。きっと何日も洗い物を放置した台所のシンクに落ちていたり、もので溢れた部屋の中に落ちていたら気持ち悪かったろう。この真っ白な床の上に落ちていることでわざとここに展示されているかのように見える。しかし仮に、近所で節足動物美術展が無料で開催されていても絶対に行きたくない。行った日にはきっとこういう夢を見るから。でもここは私の家だから片付けないと。

 

お風呂掃除をするときは、どうせ汚れるからと自分がお風呂に入るタイミングでする。お風呂に入る前に洗剤を巻いておき、その後衣服を全て脱いで、スポンジを持ってわしゃわしゃと洗う。

しかし今回は汚れではなく虫だ。洗っても洗っても取れない。いや減らないと言った方が正しい。虫はわらわらと増え続け、肌に直接まとわりついてくる。風呂場は真っ黒、節足動物美術展は満員になった。最初に見たでっかいバナナ虫はどこに行ったのか。どこから手をつけていいのかわからず、虫がわいた浴槽の中をただ裸で突っ立っている。

 

 

 

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