月の土

植物が育つ土にしたい。主に登山・植物の雑記とイラスト

悪夢日記 其の一

【砂】

 不定期なリズムで茶色と白の視界が移り変わる。

 山の多い路線の電車に乗っている時のような感覚。トンネルに差し掛かると向かいの窓の外がとパッと黒くなり、トンネルを抜けるとパッと白くなる。電車を降りればその白黒劇場は終演するのだけど、この電車には終点がない。というか、私が電車らしい。いや、電車というよりはジェット機という方が近いかもしれない。

 どこかしこに機動力をつけた私の身体は砂の中をものすごい速さで進んでいる。酸素は必要らしいのでたまに息継ぎで地上に飛び出る、また砂にもぐる。

 匂いと質感は土だけど、中を進む時の抵抗力の少なさは砂に近い。肌にまとわりついてざらざらするし、ジェット機ばりの速度が出ているのに爽快感が微塵もない。途中、木の根っこにぶつからないか不安になる。

 動きながら閉じ込められている。終わりが見えなくて辛い。

 息継ぎで一瞬地上に出る時、海が見えた。いま砂浜にいるんだー。

 

 

 

 

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